太宰 治
1940年 · 約9,692字
メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。
冒頭の一行だけで、もう物語が走り出しています。羊飼いのメロスが、人を信じられなくなった王に腹を立て、親友を人質に置いて三日の猶予をもらう。期限までに戻らなければ友が死ぬ。それだけの筋書きです。
短い作品ですが、会話の分量が多く、しかも誰が喋っているかがはっきりしています。吹き出しで読むと、メロスの焦りと、待たされ続けるセリヌンティウスの沈黙が、地の文で読むときより生々しく迫ってきます。声を当てるとなおさらです。
出典: 青空文庫。著作権の保護期間が満了した作品です。